YS's blog

YS's blog

You only live once. ― 人生は一度きり

初見では難しい、でも単語は簡単な英語表現

渡米直後は半分以上英語が聞き取れず、非常に苦労した。聞くだけでもこんなに苦労したのだから、話す方が3歳児以下だったのは想像に難くない。今考えても(話せなさすぎて)クビにならなかったのが不思議なくらいである。クビにならなかったのは、ラボのデフォルトのコミュニケーションツールがslackだったからかもしれない。(slack, もっといえばemailがない時代だったら僕は1週間でクビになるレベルだったし、そもそも採用されていないと思う)対面でも最大限コミュニケーションをとるように努力したとはいえ、最初の3ヶ月いや半年くらいはコミュニケーションの面で非常に迷惑をかけてしまったと思うと大変申し訳ない。(これでも渡米前の半年は英会話教室に行きつつ、海外ドラマを英語字幕で見るなど一応の努力はしたつもりだった。)あれほど英語がしゃべれたら、あるいはリスニングだけでも日本語レベルでできればと思った期間はなかったと思う。3年弱の間、メンバーの半分くらいがネイティブの環境で仕事をしたかいもあり、少なくともリスニング力に関しては格段に向上したと思う(当社比)。専門のディスカッションではあれば(知らない単語がない限り)90%は聞き取れる"気がするし", 日常会話でもローカルネタでなければ80%は聞き取れるようになった"気がする"。スピーキングも毛が生えた程度には向上したと思う。

渡米当初の英語の苦労の要因はいろいろあるが、発音がわからず聞き取れない以外で大きな要因を上げるとしたら、日本の中学で習うような単語の組み合わせのはずなのに聞き取れても初見で意味を汲み取れないものが思いの他多かった点だと思う。特に頻出だった初見で難しい、しかし簡単な英語表現をいくつか列挙してみる。(以下の各コメントは、完全に私の主観で、英語の専門家の解説では決してない。)1と2が個人的にぶっちぎりで初見殺しの表現である。

  • I would 〜
    (例) I would try this experiment.
    (訳) 私"なら"この実験をする=>この実験をやってくれ。(丁寧な命令表現)
    I would 自体は例えば丁寧な表現、あるいは婉曲するために使われるというのはどこかで習った気がするし、これは間違いではないと思う。ただ上記のI would の使い方は初見殺しで、どこかのwebページによると If I were you, が省略されている仮定法の表現らしい。したがって訳は、私"なら"この実験をする、つまり、この実験をやってくれ(これを命令と捉えるか、提案ととらえるかは文脈にもよる)、となる。多分仕事を指示する、あるいは代案を提案する場面だと頻出の使い方なのではないかと思う。ついついYou should と言ってしまいたくなる場面で I would を使えるとネイティブに一歩近づけるのではないかと思う。これとは違う使い方だけど、I thinkの婉曲版にI would sayというのもあって、これも一日に何回も聞く表現である。

  • want to 〜
    (例) Wanna grab food? (正式ver. Do you want to grab food?)
    (訳) 何か食べにいかない? (この場合はlet's とほぼ同義だけど、〜してくれない?みたいなお願いの意味になるときもある)
    この例文のgrab food(食べに行く)もなかなかの初見殺しだけど、want to の意味を知ったときにはそんなん知らんわってなった。恥ずかしながらwant to といえば中学で習った「〜したい」の意味しか知らなかった。英語圏に行くときにDo you want to 〜? あるいは単にWanna 〜?と聞かれたら脳内でLet'sまたはCan you に変換すると良いと思う。これの亜種にDo you want me to 〜(私に〜してほしい?つまり、私が〜しましょうか)もあってこれは、Shall I とほぼ同義である。

  • walk through 〜 (あるいは walk 人 through 〜)
    (例) Can you walk through this process?
    (訳) このプロセスを一通り説明してくれる?
    Explainとほぼ同義。知らないと知らないイディオムである。ラボでも頻出だし、多分ビジネスの場でも頻出だと思う。

  • I am not big fan of 〜
    (例) I am not big fan of baseball.
    (訳) 私は野球が好きじゃないんだ。
    要するに、I don't like。英語での婉曲表現。英語(あるいはアメリカでは?)では否定的なことを言うときにこのような婉曲表現を用いることが多いと思う。多分ストレートにI don't like というと強すぎる印象を与えてしまうのだと思う。他にもいろいろあった気がするが思い出せない。

  • might want to 〜
    (例) You might want to look over this document in advance.
    (訳) 前もってこの文書を目を通しておいた方が良い。
    これも婉曲表現で、「~したほうが良い」の意味。slack上であるいは論文の査読コメントでよく見かける。口語では比較的聞かないので書き言葉なのだろうか(私が聞き取れていない可能性が多分にある。)

  • Do you mind if I〜 または単に Mind if I〜
    (例) Mind if I use this tweezer?
    (訳) このピンセット使ってもいい?
    これもよく日常で耳にする表現でCan Iよりも丁寧な許可を求める表現(これは高校かどこかで習った気がしないでもない)。難しいのが返答で、Mindは「気にする」の意味なので直訳すると、「あなたは、私が〜したら気にする?」の意味になる。「気にしないよ」、と返答する場合は、Noが文法的に正しい表現になる。しかし、許可をとっている疑問文にどうぞといいたい場合はYesと答えてしまいたくなるのが人情である。ネットをいろいろ検索すると、返答例としてNo, not at allとかSure, go aheadなどが出てくる(Sure自体は返答として文法的には正しくない。)要するにYes、Noだけでなく一言付加的にGo aheadやNot at all, please do soなど付け加えることで誤解がなくせて良いということらしい。ちなみに私はピンセットが英語でtweezerであることをアメリカに行くまで知らなかった。

  • works for me
    (例) That works for me。
    (訳) 私はそれでいいよ。
    「この日のこの時間でどう?」という質問に対して「それで問題ないよ」という返事をする場合に使う。このような質問に対してはこの返答一択なのではないかというくらいよく使われる。works自体、「うまくいく」という意味でとても良く使われる。例えば「これはうまくいくよ」というときはシンプルに"This works"という。

"This is a pen"の代わりにこういう(単語は簡単な)実用的な英語を中学高校で教えて欲しかった。

おまけ

  • take it away : では、はじめて下さい。
  • At the end of the day : 結局のところ
  • Long story short〜, Bottom line is 〜:結論を言うと