YS's blog

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You only live once. ― 人生は一度きり

UCSBポスドク記

※ ブログはこちらへ移行しました。

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Henley Gate
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キャンパス内
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キャンパスビーチとラグーン

2017年秋 海外ポスドクを志す

昔からいつかはアメリカで研究してみたいという漠然とした思いがあった。博士号取得後の2018年4月からの勤務先は決まっていたが、もしもうまく海外ポスドク先が決まれば退職して海外へ行くという意向をボス(予定)に相談したところ快諾して頂いた。この時期から海外ポスドク先を探し始めた。ラボ選びの方針は下記の記事で書いた通りである。また同時期にElings Prize Fellowshipにも応募した。

2018年 2月 Elings Prize Fellowship のオファー

幸運にもカリフォルニア大学サンタバーバラ校からElings Prize Fellowshipのオファーレターを頂き(日本人初)、当時ラボ立ち上げから2-3年目だったAndrea Youngグループに同年10月から行くことが決定した。コネなどは一切なかった(大学院時代のボスは、ポスドク時代のボスの名前すら知らなかった。)

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Elings Prize Fellowship のオファーレター
※上のオファーレターによると2018年ではElings Prize Fellowshipの年間給与予定額は60000USD (~ 660万円)だが、2021年現在は公式サイトにある通り65000USDになっている。またUCサンタバーバラポスドクの給与は年間2%上昇する(これはフェローシップに限らない)。したがって2021年現在Elings Prize Fellowshipを獲得すると1年目65000USD, 2年目66300USD, 3年目67626USD (~ 743万円) となる。

2018年 3月 博士(工学)取得

博論審査を無事に通過して、東大から博士号が授与された。同時期に幸運にも日本学術振興会育志賞も頂いた。

2018年 9月27日 渡米

アイラビスタの学生街でシェアハウスで暮らし始める。最初の1ヶ月は英語が分からなすぎて非常につらかった。 初見の装置の使い方の説明を理解するのが特に大変だった。食事に関しても、とりあえず空腹をしのいで明日生きていればそれで良いくらいの精神で朝夜菓子パンと昼はキャンパスのYOSHINOYAで食べていた。それから程なくして食事処をいくつか見つけ、朝はカロリーメイト、昼はサブウェイ、夜はサブウェイまたはインドカレーというスタイルになった。インドカレーは東京だとナンがデフォルトだがアイラビスタのインドカレー屋はライスがデフォルトだった。カレーは美味しかったが、ライスは美味しくなかった。またサブウェイをあまりに食べ過ぎていた時期もあり、一時期サブウェイを全く受けつけなくなった。家に帰るのは"毎日"夜10-12時くらいだった以前の記事でも書いたが、アイラビスタは学生街でとても治安が良いので夜1時にぼーっと歩いていても全く身の危険を感じたことはない(アメリカの他の多くの場所ではこうはいかないと思う)。むしろ、頭上からかなり太めの枝が突然落ちてきたり(頭に落ちたら怪我では済まないかもしれない)、目の前で倒木したりなど人以外の要素で危険が多い。

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YOSHINOYA

2018年 11月 ソーシャルセキュリティーナンバー(SSN)取得

アメリカ人にとって命の次に大事なSSN(納税者番号)を取得した。これがないとタックスリターンなどの場面で困る。

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2018年 12月 研究テーマ大幅変更

当初予定していた研究、つまりフェローシップ獲得用の書類で書いた研究計画、は非常に難しいことが分かったので、渡米から3ヶ月も経たずにあきらめ、全く別の研究テーマ(詳細は下記の記事)に切り替えた。以後、フェローシップ獲得用の書類で書いた研究は一度も行っていない。

2019年 1月 歯の神経を抜く

下記の記事で書いたが、歯の神経を抜いた。アメリカで根管治療をうけるのはなかなか無い経験ではないかと思う。(もう一度したいとは思わない。)

2019年 3月 アメリ物理学会@ボストン

ボストンで開催されたアメリ物理学会(正式にはAPS March Meeting)に参加した。大雪だった。ちなみにサンタバーバラは雪が降らない。翌年の同学会は開催2日前にCOVID-19の影響で突然キャンセルされた。

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2019年 6月 2人の学部生のメンターになる

自分が直接メンターをするUCSBの学部生(2年生と3年生)を2人受け持つことになった。2人には主に私の実験で使うサンプル作製の前半の部分を担当してもらった。

2019年 6月下旬 引っ越し

妻が渡米してきてくれ、これを機に同じアイラビスタにある1bedroom (ほぼ1LDK) の部屋(前のシェアハウスから徒歩10-15分)に引っ越した。以後は妻が料理を作ってくれたおかげで、カロリーメイト、サブウェイ、インドカレー、そしてYOSHINOYAのローテーションからは卒業した。

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新しいアパート

2019年 7-8月 リンダウ・ノーベル賞受賞者会議に参加

毎年、ドイツのリンダウに30名程度のノーベル賞受賞者が世界中から招待され、若手研究者(大学院生やポスドク)に対して講演やディスカッションを行って下さる会議に参加した。 日本人は10名程度参加していた。詳細はこちら

2019年 8月-9月 2人の北京大学からのインターン生のメンターになる

当時受け持っていたUCSBの学部生二人に加え、北京大学からのインターン生(学部3年生)二人受け持つことになった。この時期は自分の実験と指導を並行して行う時間が多く、とても忙しかった。

2019年 10月 歯の矯正をはじめた。

詳細は下記の記事に書いた。

2019年 12月 1本目の筆頭論文を投稿

渡米から1年ちょっとが過ぎ、やっと当時行っていた研究がまとまりそう(?)になった。より正確には競合がいることが分かったので、早急にまとめざるを得なくなった。ボスが競合の研究グループから「私達は今日投稿した」みたいな旨のメールを受け取ったらしく、突然(文字も図も全くなにもない状態で)ボスから2日で書き終えられるか?みたいな無茶振りを受け、Yes?って勢いで答えたが、4日くらいかかってしまい、それをボスが2日で直し、1日かけて2人で見直し、投稿という感じの超スピード論文執筆&投稿になった。論文執筆指令から投稿までわずか1週間である。ディスカッションは実質1-2日くらいしかしていない。この論文はアメリカでの最初の筆頭著者の論文となり、後にNature Physics (arXiv PDF版)に掲載された。

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2019年 12月 ニューヨークで超極寒の中、体調を崩す。

とある実験のためにニューヨーク大学に2-3週間出張することになった。時期が悪かったのか毎年そうなのか、この頃のニューヨークシティは超極寒でマイナス10度を下回る日もたびたびあった。サンタバーバラの温暖な気候に慣れていた私は体調を崩してしまい、38度以上の熱とひどい咳に苦しんだ。妻が看病してくれたが完治するのに10日くらいかかった。ちょうど中国でCOVID-19が発見された頃でもあった。

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2020年 3月18日 COVID-19の影響で大学閉鎖

私は当時COVID-19がまさかここまで全世界的に蔓延し、パンデミックを引き起こすことになるとは夢にも思っていなかったし、マスクもしていなかった。3月12日にアメリ物理学会が開催2日前になって突然キャンセルの連絡が入り、ハーバードやブラウンなどでキャンパス閉鎖の噂を耳にする。3月16日にボスからslackでメンバー全員に数時間以内に装置など全て停止してラボを閉鎖し、キャンパスから去るようにと連絡を受ける。さらに3月18日に研究副学長からShutdown of All On-Campus ResearchというタイトルのPDFファイルがメーリスで回ってきて、この日を境に実質的にキャンパスが完全に閉鎖された。あっという間の1週間だった。そこからミーティングがすべてZoom上で行われるようになった。実験系の研究のつらいところは以下のリンク先のような作業が必要なためラボに行かないと全く研究が進まないという点である。Work from Homeというわけには行かないのである。

2020年 6月 制限付きで大学再開

1実験室1人ルールのもと実験が再開できるようになった。どの実験室で作業しても常に自分一人しかいないのは寂しかった。もちろんマスクは全員着用、さらにクリーンルームではフェイスシールドも着用義務になり、目の前が曇りすぎて非常に作業しづらかった。

2020年 8月 2本目の筆頭論文を投稿

COVID-19の直前に7-8割がた出ていた成果に関してまたもや競合がいることが分かった。例によってボスから来週までに追加データをとって論文を投稿しようと言われ、急いで追加実験を行い論文にまとめた。この論文はアメリカでの2本目の筆頭著者の論文となり、後にNature Physics (arXiv PDF版)に掲載された。

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2020年 8月 3本目の筆頭論文を投稿

前々から気になっていたデータに関して、(サンプル依存性がとても多い物質なので)最初はサンプル依存性を疑ったが、サンプル依存性ではなく実は普遍的な現象ではないかと思い、ラボ再開後にとある実験を始めた。その仮説が実験的に正しいらしいことが分かり、ボスがその仮説が理論的に説明できるような物理現象を思いつき、論文をまとめはじめた。生き馬の目を抜く世界とはまさにこのことである。またもや競合がいることが判明した。そして例によって大急ぎで論文を書き上げ、投稿した。この論文はアメリカでの3本目の筆頭著者の論文となり、後にNature (arXiv PDF版)に掲載された。

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結局アメリカで書いた3本の筆頭論文に関して、ほぼ同じ研究テーマをやっている競合の研究グループがいたので、それらの他の研究グループからもほぼ同時期に似た内容の実験結果が同じ雑誌また別の雑誌の論文に出版され、報告されている。自分達だけが最初に見つけたわけではないというのはいささか悔しいが、裏を返せば再現性が高い実験結果であるともいえる。

2020年 11-12月 ビザ更新のため一時帰国

J1ビザ更新のために一時帰国した。コロナのために2週間隔離などがあり、いろいろ大変だったが、Thanksgiving Dayを挟んだにも関わらず、アメリカ大使館・領事館は新しいビザを営業日で2日程度で発行してくれた。この頃、ファイザーとモデルナがワクチン開発に成功したというニュースを聞いた。

2021年 3-4月 Pfizer-BioNTech製のワクチンを接種

Pfizer-BioNTech製のワクチンを接種した、接種後6-20時間くらいは腕の痛みと倦怠感があったが、発熱はなかった。

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2021年 5月 研究テーマ変更

3年目になって再度研究テーマを変更した。これが実質最後の研究テーマになった。

2021年 6月 マスク無し生活になる

CDCからワクチン接種済みの人はマスクをつけなくても良いというようなガイドラインが発表される。これを受け、UCSBでも下記のようなガイドラインが発表される(多分この頃はその後デルタ株がこれほどまでに猛威を振るうことになるとは誰も思っていなかったのだろう。私はデルタ株の存在さえ知らなかったと思う。)

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2021年 8月 デルタ株の蔓延と共にマスク有り生活に戻る

COVID-19の変異種であるデルタ株が世界中で広がり始め、アメリカでも再び感染者が急増したことから再びマスク着用が強く推奨されるようになった。

2021年 9月 日本へ本帰国予定

3年間のポスドク生活も終え、あと少しで日本に本帰国である。

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寄せ書き付きノートブック
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ボスからの送別のプレゼント(本)と3年間使ったマグカップ
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集合写真(2019&2021)

その他サンタバーバラの写真はこちら。

海外ポスドクになる方法と現地フェローシップ

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ポスドク(Postdoctoral Researcher; 博士研究員)のポジションは世界中に無数にあるので博士号さえ持っていれば容易になれる(なりたいかどうかはもちろん人による)。日本から海外のポスドクを目指す際に多くの人はまず第一に海外学振をとることを目指すと思うが、少なくともアメリカに関しては、応募先のラボがある程度以上に研究費が潤沢であれば応募者側に明らかに問題がない限り(例えばコミュニケーションに極端に難がある、前所属で何らかの問題を起こしたなど)フェローシップ無しでもポスドクに応募して落ちることはまずない。"研究費に困っていない"ラボの主宰者(PI)が、応募してくるポスドクを断る理由がほぼないのである。論文が1本もないからと言って海外ポスドクを諦める人をたまに見かけるが、アメリカには論文無しで学位をとってポスドクやってる人なんて山ほどいるから基本的には問題にはならないと思う。従って、海外ポスドクになりたい場合はいくつか研究費が潤沢そうで"良さげなラボ"の候補を決めてとりあえずメールを送ってみるのが良いと思う。ラボのPIのもとにはかなり多く(数十から100以上)の迷惑メールが届くので(メールアドレスを論文の責任著者として各論文誌のwebサイトに公開しているため)、返信がなくともめげずに何度も送って見るのが良い。もちろんメールを送る前に学会などで顔見知りになっていればなお良いと思う。

海外ポスドクになるには、1) フェローシップ無しで現地のラボに直接応募する(アメリカでは最も一般的)、2) 海外学振を獲得する、以外にも 3) 現地のフェローシップを獲得するという方法がある。現地のフェローシップというの国や地域、そして各研究機関が出しているフェローシップのことである。フェローシップ獲得のメリットは、お給料が同じ研究機関のポスドクよりも100万円前後高くなる(特に各研究機関が出している場合)のと、アカデミックキャリアを目指すのであれば研究費獲得実績と言う点でプラスになることである。デメリットは倍率が高い(例えば30倍-100倍以上)のである程度は運である点である。例えば私が知っている物理関連分野で応募できるものをぱっと上げると

地域・国単位だと例えば

などがある。

どのfellowshipも似たような書類が要求される。例えば私が獲得したElings Prize Fellowshipの公式サイトから要求される書類を見てみると(特に太字の箇所はどこの応募する際にも要求されると思う)、

  1. A cover letter summarizing the applicant's background, indicating the area of proposed research, and listing the group(s) with which the research will be pursued.
  2. A complete curriculum vitae of the applicant's educational and professional experience, listing all publications, and summarizing the applicant’s contributions to teaching, mentorship and service.
  3. A one-page research summary, to be completed in coordination with the proposed faculty advisor. References may be included on a separate page and do not count toward the one-page research summary limit.
  4. A one-page statement on contributions to diversity, equity, and inclusion, core values of the California NanoSystems Institute and UC Santa Barbara. This statement should address past and/or planned contributions to diversity, equity, and inclusion through research, outreach, and/or service, and may highlight the applicant’s personal history, for example, in overcoming barriers such as economic, social or educational disadvantage to achieve significant academic success.
  5. A one-page mentoring plan to be submitted directly by the proposed faculty mentor to describe the training environment as well as plans for professional development (e.g. in research, ethics, teaching, service, and promotion of diversity and equal opportunity.)
  6. Three supporting letters of recommendation, one must prepared by your proposed UCSB advisor(s), to be submitted directly by the recommenders. Letters of recommendation will only be accepted online. Each recommender listed on an application will receive an e-mail with instructions on how to submit a letter of recommendation. https://www.cnsi.ucsb.edu/resources/funding/elings-prize

要するに必要な書類は、カバーレターCV研究計画多様性などへの貢献のStatement(私が応募した際はなかった)、メンターのプラン(ボス(予定)が提出)3通の推薦状である。アメリカの大学/大学院では、筆記試験スコア(GREやSAT)、Statement of Purposeが要求されるが、こうしたフェローシップではそれらの代わりに論文リスト(CVに含まれる)と研究計画が要求される点が異なる。さらに場合によっては面接審査がある。博士取得時点で論文が1本もないとこうしたフェローシップに通ることはほぼ不可能だと思うが、論文が1本でもあれば出して見る価値はあると思う(筆頭2本くらいでも通ってる人はいる)。私の場合はコネは全く無かったが、もちろんフェローシップ審査員にコネがあれば審査が有利になるかもしれない。

Kaggle:SETIコンペ参加記(ソロ銅:71th/768 teams)

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SETIコンペのページから

SETI Breakthrough Listen - E.T. Signal SearchというKaggleの画像分類コンペに参加しました。

結果

768チーム中71位でソロ銅でした。 f:id:yseeker:20210821170621j:plain

コンペの概要

Overviewのページには

In this competition, use your data science skills to help identify anomalous signals in scans of Breakthrough Listen targets. Because there are no confirmed examples of alien signals to use to train machine learning algorithms, the team included some simulated signals (that they call “needles”) in the haystack of data from the telescope. They have identified some of the hidden needles so that you can train your model to find more.

とあって、要するにSETI(Search for Extra Terrestrial Intelligence;地球外知的生命体探査)の研究グループ(Listenチーム)が取得した大量の望遠鏡の信号のデータ(2次元データ)をシミュレーションによる擬似的な信号(needle)が加えられたデータ(Positive)と無いデータ(Negative)に分類し、そのAUCスコアを競うコンペです。地球外知的生命体からの信号発見用の機械学習アルゴリズムを開発するという何ともロマンのあるコンペです。

コンペで使用するデータの例をNegative, Positiveで2つずつ挙げると(縦軸は時間、横軸は周波数)

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信号無しデータ(Negative)

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信号ありデータ(Positive)

のようになっており、たしかにPositiveデータの方にはneedleらしい特徴が視認できます(赤矢印)。上のデータはわかりやすいデータをあげましたが、実際には少なくとも目で見る限りはNeedleらしい特徴なんてどこにもないPositiveデータもたくさんありました。シグナルよりも圧倒的にノイズが大きいデータもありました。実際の観測データでは、望遠鏡を信号を発する方向に向けた際のデータをONデータ、別の方向に向けた際のデータOFFデータとしているため、今回のデータではPositiveのONデータにのみシミュレーションによって生成した擬似的なneedle(信号)をうまく混ぜてあるようです。

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実際の観測データ

参加記

2021年6月

  • 本業に余裕ができたので5年ぶりにKaggleを真面目にやりたいと思い立つ。画像コンペに参加したことが無かったので、画像コンペを中心に漁り始める。SIIMとSETIの2つのコンペを発見した。最初にSIIMをやり始めたが、厳しそうだったのですぐに撤退。
  • Google Colab Proを契約
  • Kagglerたちは皆Pytorchを使っているようなのでPytorchを勉強し始めた。深層学習もすっかり忘れていたので復習した。
  • 世の中にはtimmという神ライブラリがあることを知り、転移学習を覚えた。
  • とりあえずPytorchで一通り書けるようになりまともなスコアが出るようになったので、公開カーネルとディスカッションを読みはじめる。
  • 入力はONチャネルだけにした。
  • 4xGrandmasterの@abhishekさんが作ったTezというエコシステムを知り、これを利用しつつ、自分で一からエコシステムを作ったりしてPytorchの理解を深めた。
  • mixupというdata augumentationを知る。

リーク発覚

  • ローカルに落としたファイルのtime stampなどから正解ラベルが特定できるリークが発覚=>3-4週間後にコンペ再スタート

2021年7月

  • @ttaharaさんが公開されていたpytorch-pfn-extraを使ったCodeを発見して、便利さに感動したが、web上にpytorch-pfn-extraの説明があまりなく、すべての解読はまだできていない。
  • *mixupのalphaを0.5から1.5に変えるとefficientnetb0でPublic scoreが0.760から0.766に上がった。
  • 何もいいアイディアが思い浮かばないので、データの加工(標準化、正規化)、モデルの変更(efficientnet family, resnet family, vgg16bn, mobilenet)などを試すがあまり劇的な効果は得られなかったが、efficientnetb3が若干良いスコアを出すことが分かった。
  • リーク前のデータでpretrainしたら少しスコアが上がった。
  • これまでのモデルのスコアをアンサンブルをしたら一時期15位くらいまで上昇した(残り1ヶ月)

2021年8月

  • TTA, アンサンブル、スタッキングなどを試す。TTAしてからアンサンブルするとTTA無しのアンサンブルよりもスコアが下がって謎だった。
  • positiveデータだけリーク前のデータから追加したが、スコアが下がった。
  • Pseudo labelingも試したがうまくいかなかった。
  • スタッキングを試すがPublic scoreで0.780を超えない。
  • Google Colab Pro+にアップグレード
  • ラスト3日で銀圏から銅圏に追い出される。
  • 最終的に512x512の画像サイズで学習し、mixup alphaを1-1.5で変えたりして、efficientnetb3 x 6 + efficientnetb0 x 3 + resnet34d x 2 + effnetb1 x 1 + effnetb5 x 1 + XGBoostのスタッキングの単純平均アンサンブルを提出。

上位陣の解法

1位 Watercooled チーム(@philippsingerさん、@philippsingerさん、@philippsingerさん)

https://www.kaggle.com/c/seti-breakthrough-listen/discussion/266385

  • "Magic"を使って最終的に2位に大差をつけて優勝。
  • モデルは First convolution stride (1, 2) + eca_nf_net _l2 + GeM Pooling

  • Magic1: testセットにのみ現れるsin波を生成して学習させる(=> LB 0.800)

  • Magic2. バックグラウンドノイズの量を大幅減らすため(S/N ratioを上げるため?)のデータ処理 (LB=>0.853)

2位 未知との遭遇 チーム(@hirune924さん)

https://www.kaggle.com/c/seti-breakthrough-listen/discussion/266397

  • Pytorch lighteningを用いた圧倒的に簡潔なコード
  • logical OR用のmixup:y = y + y[index] - (y * y[index]) (これでpseudo lebelのときのsoft targetになるらしい。)

3位 knjチーム(@knjcodeさん)

https://www.kaggle.com/c/seti-breakthrough-listen/discussion/266403

  • Convolutional Triplet Attention ModuleをEfficient Netに使った解法
  • backboneは EfficientNet B1-- B4
  • GeM Pooling (p=4)
  • Focal Loss (gamma=0.5)
  • MADGRAD optimizer
    • Initial Lr 1e-4 LinearWarmupCosineAnnealingLR (warmup_epochs=5)

4位 Steven Signal チーム(@sherlockkayさん, @kulyabinさん, @bakeryproductsさん)

https://www.kaggle.com/c/seti-breakthrough-listen/discussion/266396

  • 工夫したmixupとcutmix
  • FocalLoss, gamma=2, alpha=.7
  • モデル: nf-regnetb1, nf-regnetb1, HRNet18,
  • timm EMA

5位 SETIの壁 チーム(@kzkt0713さん, @sinpcwさん, @sunakuziraさん)

https://www.kaggle.com/c/seti-breakthrough-listen/discussion/266394

上位陣の手法を身に着けて精進していきたいです。 CPMPさんとか僕がのほほんとサンタコンペ出た5年前からずっと存在感があってすごい。

写真で振り返るサンタバーバラ滞在記

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渡米直後

渡米直後に最初に住んだ部屋。アイラビスタのTrigo Rdにある7-8人くらいが住めるシェアハウス。同じ時期にICUから交換留学のような制度で女子学生が二人来ていた。彼女達は二人とも英語がペラペラでキャンパスの情報などを時折仕入れてくれたり、時には日本食をプレゼントしてくれたりなどとてもお世話になった。(学部生の彼女達からみたら私は毎日深夜頃にラボから部屋に帰ってくる異様な存在だったのではないかと思う。)

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アイラビスタの街並み

アイラビスタは人口の大半が学生の街である。スケボーに乗ってる人やサーフボードを持ってる人を多数見かける。治安はとても良い。ニューヨークと比べて時間がとてもゆっくり流れていて、穏やかな人が多く、これといった(人種)差別を受けたことは3年間で一度もない。ただし、たまによそ見をしているスケボーダーが突っ込んできたり、スケボーダーが転んだ際にボードがこちらに突っ込んでくることがあるので注意。 f:id:yseeker:20210727141440p:plain
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カリフォルニア大学サンタバーバラ

多分正門(キャンパスの東側にある)。めったに使わない。 f:id:yseeker:20210727141412p:plain キャンパス内 f:id:yseeker:20210727141406p:plain
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実験室やクリーンルームの中身はこちらの記事に書いた。

キャンパスビーチ

研究で疲れたときはぼーっとビーチを見ると癒やされる。 f:id:yseeker:20210727141633p:plain
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Downtown

赤い屋根が特徴的なスペイン風の美しい建物が多い。ワイナリーや海鮮系のレストランも多い。 f:id:yseeker:20210727141606p:plain
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サンタバーバラはウニの名産地なので、Sushi Go GoとShell fish companyというお店で妻とウニを食べた。

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ウニ@Sushi Go Go
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ウニ@Shellfish Company

以下はサンタバーバラ外の場所である。

チャンネル諸島(Channel island) @ Ventura

チャンネル諸島は、サンタバーバラ近くにベンチュラ郡に属する8つの島々で構成される諸島で国立公園にもなっている。シマハイイロギツネ(Island fox)という小柄なキツネが多数生息する。かなり人馴れしている。 f:id:yseeker:20210727141516p:plain
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リンダウ・ノーベル賞受賞者会議 @ Linadu, Germany

毎年30名程度のノーベル賞受賞者が世界中から招待され、若手研究者(大学院生やポスドク)に対して講演やディスカッションを行って下さる会議でドイツのリンダウで開催されている。 日本人は10名程度参加していた。詳細はこちら

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The Institute of Photonic Sciences @ Castelldefels, Spain

リンダウの帰りにスペインのカステイダフェルス(Castelldefels)にあるICFO(The Institute of Photonic Sciences)という研究機関の中のDimitri Efetov研を訪問した。Prof. Efetovの大学院時代の研究テーマが私の大学院時代の研究テーマと似た内容だったために興味をもってもらい、大学院時代の研究テーマでセミナーをさせて頂いた。 f:id:yseeker:20210727141531p:plain

ニューヨーク大学 @ NYC

2019年12月頃(covid19が中国で発見されたあたり?)にベクトルマグネット付きの希釈冷凍機を借りるためにニューヨーク大学のJavad Shabani研究室を訪問した。冬のニューヨーク市は極寒で日によってはマイナス10度を下回ったりして顔中凍るかと思った。ニューヨーク市滞在中に体調を崩し、そこそこの熱(38度以上)とひどい咳が出た。これがコロナの症状だったかどうかは今となっては知る由もない。ちなみに実験はうまくいかなかった(サンプルが全滅した)。 f:id:yseeker:20210727141554p:plain
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アメリカで矯正歯科に行った話

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以前の記事で書いた通り、私は渡米3ヶ月で歯の神経を抜いた。歯内療法科で専門医に歯の神経を抜いてもらった後に、すぐ隣の一般歯科の専門医に見てもらったのだが、その際に奥歯に過度な力が加わっているためこのまま放っておくと頭痛持ちになるかもしれないからどこかの矯正歯科に行ったほうが良いと言われた。当時は渡米直後ということもあり、仕事をするのに、もっと言えば生活していくのに精一杯だったためには華麗にスルーしてしまったのだが(金銭的にも余裕がなかった)、それから数ヶ月が経って一段落してやはり矯正歯科に行くことにした。お世辞にも健康で丈夫な体とは言えないので年をとってからの悩みの種を増やしたくなかったからである。それと矯正大国アメリカでの矯正を体験してみたかったというのも少しある。矯正歯科は、根管治療をしてくださった歯内療法科と一般歯科のすぐ近くにあるSanta Barbara Orthodontistというところにした。これらの歯科医院は全てAlamar Dental Centerに連なって存在している。これら以外にもあと3つくらい別の分野を専門とする歯科医院が存在している。

初回相談でレントゲン写真などをとってもらい(無料)、治療完了までの予想期間や費用、完成予想図などを説明された。さて米国での治療費は日本に比べてかなり高いと言われるが、その数少ない例外が歯科矯正の治療費だと思う。アメリカでの平均治療費は約50万(うわさ)で、これは日本の平均的な治療費である約100万円(いくつかのサイトを適当に見て平均した)の半分である。その例に漏れず、私の場合も治療費は49万円だった。内訳は、表側治療の透明ブラケット&ワイヤーで基本治療費56万円+透明なブラケット3万円-保険適用10万円=49万円である。この他に上下左右の真ん中あたりの歯の4本を"同時に"抜いたので、この矯正の費用とは別に一般歯科で数万円かかった。治療完了までの予想期間は2年弱と言われた。何事もなければ本帰国予定までちょうど2年だったのでまあ間に合うだろうと思っていた。もちろん当時はその後、Covid-19によるパンデミックが起こるとは夢にも思っていなかった。そんなこんなで帰国1ヶ月になって、主治医からは"ぎりぎり間に合わない"と言われて、日本で継続治療をできる矯正歯科医を絶賛探し中である。

Twenty-four seven ― ポスドク1年目の思い出

Twenty-four seven. 24時間365日。"いつでも"を表す表現は日本語も英語もあまり変わらない。私はポスドク1年目はほぼ文字通り"いつでも"働いていた。実際には週7で1日12-13時間、365日のうち休んだのは10日くらいである。もちろん、研究自体は楽しかったし(特にはじめは新しい環境で新しいテーマだったので)、没頭できていたというのもあるが、その一方全く別の環境でもしっかりと結果を出したいという思いもあった。

渡米前に英語の勉強を兼ねて"Suits"という弁護士が主役の法律事務所が舞台のアメリカドラマを見ていたのたが、そのメインキャラの一人であるHarvey SpecterがもうひとりのメインキャラであるMike Ross(当時はHarveyの弟子的ポジション)に次のようなことを言っていた。

Now when I got here, I dominated. They thought I worked 100 hours a day. Now, no matter what time I get in, nobody questions my ability to get the job done. Get it through your head. First impressions last.

Suits シーズン1 第3話

要するに「仕事は第一印象がすべて、最初に全力で頑張ることで信頼が得られる。」ということらしい。仕事の流儀というものは十人十色なので環境+自分にあった流儀を見つけることが重要なのだと思うけど、当時はこのセリフに感化され、なんとなくアメリカってそういう感じなのかなと思い、自ら進んで冒頭で書いたようなハードワークをしたのである。当時ラボ内で自分が最も働いていたかと聞かれれば自信を持ってYesとは答えられないくらいに他のメンバーも働いていた。少なくとも私がラボにJoinした2018年当時はそれくらいハードワークなラボだった。そのハードワークの甲斐あってラボ内で数ヶ月である技術にとても詳しくなり(英語がかなり片言でも)信頼されるようになった。Covidのパンデミック以降は数ヶ月はラボに出入り禁止になり、出入りが許可されたあとも1実験室あたり1人などの制限が長期間続いたこともあり、私も含めラボ全体の労働時間は減った。